兄弟二人三脚、自然体で向かう無謀な挑戦
トマとジャン=ダニエルのオジル兄弟が2013年に始めたドメーヌ・オジルは、アルデッシュの新しい自然派ワイン造り手です。彼らは協同組合の倒産や低価格な新世界ワインの台頭によるネゴシアンの販売不振などの影響を受けて、栽培農家としての生計が厳しくなった中で、自分たちの代では自然派ワインを造ることに決めました。トマはジェローム・ジュレやジル・アゾーニの下でワイン造りを学び、同世代であるアントワンヌ・アゾーニと親交を深め、先駆者たちの経験と知識を吸収しました。ドメーヌ・オジルは自家瓶詰めで自然派ワインを手がけることで、この地域の栽培農家の典型的な仕事の仕方とは異なる異端中の異端となりました。彼らは訪問者を丁重に迎え入れ、親密な雰囲気でワインの試飲を提供しますが、父親は冷淡な態度を見せ、話すことはありません。しかし、トマは若々しい風貌で、タンクに入ったシラーを試飲した時にはニュアンスを説明し、その後フォローをして、親切な一面も見せました。ドメーヌ・オジルのワインは、初ヴィンテージからキラリと光る魅力があります。