“水より安いワイン”の代名詞のひとつとして長らく、見捨てられたワイン産地だったミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ。新世代の造り手、大量生産から品質主義への転換、収量制限やワイン造りの向上と言った他の地域同様の革命が起こるには、この場所はあまりにも広大でかつ取引価格が安価なため、耕作を放棄する農家も多く、低迷から脱するのに時間を必要としました。 そして今、意志を持った世代のヴィニュロン達によるミュスカデ・ルネッサンスとも言える新時代を迎え、フランスで最も目 が離せない地域のひとつとなったのです。
1977年生まれのジェレミー・ユシェはオーストラリアで修業した後、2001 年、シャトー・テボーにある Le Domaine de la Chauvinière を継承すると共に、Clos les Montys の畑を購入しました。2006 年には La Bretesch をフェルマージュ契約で 手に入れるなど、ポテンシャルの高い畑の魅力を反映したワインを造りだしています。 一世紀を越える樹齢のクロ・レ・モンティス ヴィーニュ・ド・1914は新時代の震源地として“ミュスカデの伝道師”ジェレミー・ ユシェの名前を世界に知らしめました。
グレーヌの頂にそびえるシャトー・レ・モンティスを訪れると、粘土質土壌の区画ともうひとつの区画の土壌の違いを容易に 目視することが出来ます。ふたつの土壌は全く異なる表現をするのです。石の多いおよそ1ヘクタールの区画は 1914 年に 植樹された古木が存在しています。表土、土壌、環境、微気候、そして海とロワール河がもたらす影響、テロワールという言 葉を説明するにはそれだけでも不十分なのです。代々受け継がれる造り手の知識と感性、終わりない追及ともいえる畑への 尊重、化学薬品を排除し、畑に住む微生物を生かした畑仕事。年老いた葡萄樹に手間をかけ、手で収穫し、葡萄樹が死ん だ後も慎重に植え替えてその畑を護り続けていくことなのです。 土壌と古木に合わせた仕事を適応させて、過度に干渉することなく可能な限り明確に畑を表現させること、それが最上の 畑仕事なのです。私たちのすべての畑は 2001 年からサステーナブルな有機農法を採用しており、Agriculture Biologique の認証を取得する予定です。私たちは 25 年前から化学肥料を使っていません。そのため、葡萄樹は深く根を下ろし、土地 のミネラルとテロワールの深淵さを反映させるのです。