ジャン・マルク・ドレイヤー
Jean・Marc・DREYER
本拠地:アルザス 造り手:ジャン・マルク
敬虔なクリスチャンがつくり出す奇跡のエナジーワイン!
性格はとても温厚で信仰心の厚いジャン・マルク。現在、父の代に植えた樹齢平均 50 年を超すヴィエーユ・ヴィーニュの畑 5ha と彼が 2010 年に植樹した若樹の畑 1 ha の計 6 ha を父と 2 人で管理している。アルザスの生産者であるが、アルザス品種のアロマティックな特徴があまり好きではないという彼は、品種の香りの影響を少なくするためにワインの仕込みは主にスキンコンタクトを実践している。そのためアルザスの自然派ワイン生産者の中では「マセラシオンのワインを得意とするヴィニョロン」として名が通っている。彼のモットーは「ブドウ本来が持つエネルギーを壊さない!」こと。2500 km の行程を徒歩で巡礼するくらい敬虔なキリスト教徒である彼は、目に見えない神の力や奇跡を信じていて、ブドウのエネルギーを正しく良い方向に導けば、必ず素晴らしいワインが出来上がると信じている。ビオディナミを早くから取り入れたのも、ブドウ本来の持つポテンシャル(エネルギー)を引きだすという点で彼の考えと一致するところがあり、今はさらに均一になりがちな機械を使う作業を徐々に減らし、ブドウの木ひとつひとつの個性に向き合うために手で行う作業を増やしている。彼の趣味のひとつに散歩があるが、散歩と言っても、ただブドウ畑の中を歩いて何気なく佇むだけ。休日の日でも畑仕事が終わった後でも、夕飯を食べ終わった後に、ブドウと対話するためにぷらっと畑に出かける。そして、ブドウに耳を傾けることでブドウから出るエネルギーを静かに感じる…それが彼の趣味であり日課なのだそうだ。 彼自身、もう今はほぼワインづくりだけに特化しているが、以前はブドウ以外に F1 種からではない昔ながらの固定種からの野菜や穀物も作っていた。今でもその名残で、絶滅危惧にあるフランス原産の希少な昔の小麦の種を復活させるための活動を続けている。
ストラスブールのボージュ山脈の山麓に向かって 30 km ほど南西に下ると、村の紋章にバラの花を掲げるロスハイム(Rosheim)村がある。その村内に 4 代に渡って続く由緒正しいドレイヤー家のドメーヌがある。畑の総面積は 6 ha。ロスハイム村の南、北、西半径 10 km 以内に 30 の小さな区画が点在する。畑の標高は 200〜300mで、オークセロワの畑が一番標高が高い。土壌は主に粘土質・石灰質で、ワインに繊細なミネラルとフィネスを与える。また、北向きにあるオークセロワ、シルヴァネール、ピノノワールの畑は、昨今温暖化が進む中で年々コストパフォーマンスを上げてきている。気候は半大陸性気候で、冬は寒さが厳しく夏は暑く乾燥しやすい。だが、ボージュ山脈が西から来る大陸性気候を遮る壁の役割を果たし、寒さや雨を防ぐミクロクリマの役割を果たしている。
◇歴史
オーナーのジャン・マルクは 4 代目。幼少の頃から父の畑仕事を手伝うのが大好きで、14 歳にはすでにトラクターを運転していた。高校を卒業し会社勤めをしていたが、2000 年 25 歳の時、父の定年が近づいたことを機に実家に戻る。農業開業責任者資格(BPREA)を取るためにオベルネ村の農業学校に 3 年間通い、同時に、以前から興味のあったビオディナミをパトリック・メイエのところで学んだ。2004 年、完全に父の畑を引き継ぎドメーヌ・ジャン=マルク・ドレイヤーを立ち上げる。そして、6 ha あった父の畑をビオディナミに変える。立ち上げ当初はブドウ栽培の他にもジャガイモや古い昔の小麦、野菜なども並行して作り販売していた。また、ワインのボトル販売は地元や観光客のみで、大部分はネゴシアンが桶買いしていた。2009 年、パトリック・メイエの影響もあり、ピノノワールで最初の SO2 無添加のワインをつくる。これを機に SO2 無添加のワインに気持ちが傾いていったジャン・マルク。2013 年、初めて全てのワインを SO2 無添加で仕込む。2014 年、並行して行っていた野菜販売をやめ、またネゴシアンに売るワインも大幅に減らし、SO2 無添加ワイン造りに専念し現在に至る。