ニコラ・ラスピエ Nicolas Raspiller
本拠地:ブルゴーニュ / ボジョレー
相続する畑を持たなかったニコラ・ラスピエは、「アミオ・セルヴェール」(シャンボール・ミュジニー)、「アルマン・ジョフロワ」(ジュヴレ・シャンベルタン)、「フェヴレ」(ニュイ・サン・ジョルジュ)等の生産者に都合15年間に渡って勤務するかたわら、2012年からオート・コート・ド・ニュイとオート・コート・ド・ボーヌを中心に少しずつ畑の購入と賃借を進めていきました。そして、畑が5ヘクタールに達した2017年、オート・コート・ド・ニュイのショー村に自身のドメーヌを設立し、自社ビン詰めを開始しました。
創業時より、すべての畑でビオロジック栽培を実践。 「「アミオ・セルヴェール」のビオロジック栽培への転換に最初から最後まで関わったことで、すべてを実地に習得することができました。ブルゴーニュではビオロジック栽培は難しいとよく言われますが、やる気さえあれば普通にできることも分かりました。私は(ビオロジック栽培で認められている)銅を畑に撒くのに抵抗があり、独自に調合したハーブの煮汁を畑に撒くなど、ビオディナミの手法を応用して対応しています。近年中に正式にビオディナミに移行する予定です」。
「この20年間、ほぼ毎日畑で過ごしてきましたので、温暖化の進行を強く実感しています。最初に取得した畑がオート・コートだったのはたまたまでしたが、このエリアはコート・ドールより100メートルほど標高が高く気温が低いため、近年急速に再評価が進んでいます。「ブルゴーニュにおける最後のピノ・ノワールの栽培地」とか「将来のグラン・クリュ」といった声も聞こえはじめており、一昔前とは隔世の感があります。また、丘陵畑が多いため気候や土壌といったテロワールの多様性に富み、造り手として興味は尽きません。
ニコラの造るワインは、ライフスタイルそのものが自然派といえる彼自身の写し鏡のような、ナチュラルで癒しのあるものです。再生紙を使用したシンプルなラベルには、趣味でハチミツを造っている彼の小さなお友達が描かれています。